◆2025.5.17-7.2 イギリス・オックスフォード大学へ短期留学しました!◆


オックスフォード大学

2025年5月17~7月2日の46日間、博士後期課程2年の太田さんがオックスフォード大学へ研究留学しました。 この記事では、オックスフォード大学現地の様子や、留学生活を通して感じたことを伝えてもらいます。


こんにちは、D2の太田です。 2024年の5月中旬から7月初頭まで、イギリス・オックスフォード大学に短期研究留学をしてきました。 この記事では、研究や生活を通じて得られた体験を、写真を使ってゆるやかに振り返りたいと思います。



【オックスフォードの街並みと生活】

オックスフォードは歴史と自然が共存するとてもきれいな街でした。 街全体が大学という世界有数の大学都市で、大学の施設と日常の街並みが完全に融合しています。たとえば本屋とスーパーの間に大学の図書館が現れたり、石畳の路地を曲がると数百年前のカレッジが現れたりします。歴史的な建築と自然が調和した、まさに“学びのための街”という印象です。


オックスフォードの街並み。自然と歴史が共存する落ち着いた小さな街です。

カレッジのひとつのChristchurch college。右はハリーポッターのロケ地にもなった食堂。

私が滞在したのは、Balliol College(1263年設立)というカレッジです。オックスフォード大学は約40のカレッジから構成されていて、それぞれのカレッジが独立した自治を持っています。 どのカレッジにも独自の寮や食堂、教会、庭などがあります。学生はどこかのカレッジに所属しているのですが、カレッジによっては他のカレッジ生は立ち入れなかったり、観光客向けに開放していたりと、独特の文化があります。 私の滞在したBalliolの寮は、最近建てられたばかりでとても快適でした。 世界各国からの学生が集まっていて、寮かで挨拶をしたり、共有のキッチンで会話をしたりするのも楽しかったです。


(左上)寮の雰囲気。2021年完成の新しい寮!(左下)夜9時ごろ、寮のグラウンド。明るい。(右)ピザ屋でラボのメンバーと食べたハムピザ。テラス席です。

ただ...物価はとても高く、円安も重なって、外食すると最低でも3000円、安い学食でも1100円ほど。何をするにもお金のかかる環境でした…。寮の近くには夕方から比較的安価な食べ物を扱うキッチンカーが出店されたり、寮の共用のキッチンを活用し、学食、自炊、外食をうまく組み合わせてしのぎました(観察の結果、イギリスは水道水が硬水なので、水道水でゆでたパスタは弾力がありとってもおいしい、という知見を得ました。再現性もあります)。

イギリスのこの時期の日没はなんと夜10時ごろ。その時間でも外は明るく、パブのテラス席でご飯を楽しむ人たちで街はにぎやかです。 学生も住民も、街全体がのんびりとした雰囲気で、歩いているだけでも気持ちよかったです。


【ラボ生活:英語で研究に挑戦!】


左上から時計回りに:1.Science Park内の実験施設。郊外にある静かな場所です。2.工作の様子。3.ラボの実験メンバーと。4.ラボ内の中間発表の様子。頑張っています。

今回の留学では、Balliol Collegeに籍を置きながら、Engineering Science所属のJames Kwan先生のもとで研究をさせていただきました。先生の研究室では、超音波で溶液中に発生する「キャビテーション(マイクロバブル)」を使って、化学反応を促進する研究を行っています。たとえば、水素や窒素化合物といったクリーンエネルギーの生成などがテーマのひとつです。

私の研究テーマは、円筒型の独自の超音波装置を使って、原理の勉強および化学反応促進に効率的な実験条件を探索するというもの。週1でカレッジの先生とディスカッションを行いながら、実験はシャトルバスで30分ほどの郊外にあるScience Parkで毎日行っていました。 ラボの雰囲気もとても印象的で、かなりリラックスした様子でした。実験装置もほとんどが手作りで、派手ではないけれど、「必要なものは自分で作る」スタイルが根づいていて、DIY精神にあふれていました。



PUBでラボメンバーと。左から3人目がJames先生です。

最初は、装置を自分で工作して組み立て、仕組みや理論を学ぶところからスタート。中盤からは、自作装置を使って水素を効率よく発生させる条件を探したり、窒素化合物がよくできる触媒を探したりと、試行錯誤の日々でした。

実験はベトナム出身のポスドク・Pankajに指導してもらいながら、フランス出身のインターン生・Tanguyと一緒に作業を進めたり、中国出身のXihaoとYiに生活面でも助けられたり、イギリス出身のLuciaにも研究の相談に乗ってもらったりと、国際色豊かな環境で刺激を受けました。 装置の調整や測定系の工夫など、うまくいかないことも多かったですが、James先生やラボのメンバーと話しながら、自分で考えて試すというプロセスそのものが、とても楽しかったです。

一番大変だったのはやっぱり言語の壁でした。ミーティングや日常会話では、相手の英語が早すぎて聞き取れなかったり、自分の伝えたいことがうまく言えなかったり。でも、話していくうちに気づいたのは、「英語は正しく話すことより、堂々と話すことが大事」ということでした。 多少文法が間違っていても、伝えようとする気持ちがあれば、ちゃんと伝わるんだなということを実感しました。むしろ文法など関係なく自分の意見を堂々とはっきり言うことが重要視されます。 世界中から来た研究者たちが、それぞれのアクセントで話しているのを見て、「英語って、あくまでツールなんだな」と改めて思いました。

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平日は毎日研究でしたが、週末は街を歩いたり、ロンドンやスコットランドのエディンバラにも足を伸ばし、イギリス国内の文化の違いにも触れました。同じ国なのに、街の雰囲気や歴史が全然違います!イギリスの歴史に興味が湧いてヨーロッパ史を勉強し始めました!


左:ロンドンのウェストミンスター宮殿。右:スコットランド・エディンバラ。

はじめは不安も多かった海外での生活ですが、周囲の人の温かさに支えられて、すぐに馴染むことができました。 何かあっても「とりあえず自分で調べて何とかする」力がついたのも収穫です。知らない土地でも、なんとかなるという自信もつきました。 そして何より、「やっぱり研究って楽しいな」と改めて感じた2ヶ月でした。 この経験を糧に、またラボでもいろんなことにチャレンジしていきたいと思います。


以上、太田の留学報告でした。今回の貴重な留学の機会をくださった荻先生、受け入れしてくださったJames先生とラボメンバー、そして留学のサポートをしていただいた大阪大学カデットプログラム事務局の皆さまに、この場を借りて心より御礼申し上げます。