◆生きた細胞の超音波顕微鏡と光学顕微鏡の同時観察に成功し、細胞核の力学共振現象を発見した藤原夏実さん筆頭の論文(JJAP)が、Ultrasonic ElectronicsのBest Paper Awardを受賞しました。◆
細胞は様々な力学的負荷を感じ、機能や運命に反映させていることが明らかとなってきました。そのメカニズムや応用を探求する研究分野がメカノバイオロジーです。近年特に、細胞の司令塔である細胞核に対する力学負荷応答が注目され始めていますが、細胞を生きたまま核部に非侵襲に力学刺激を付与することが困難であったため、核の力学応答についてはほとんど解明されていません。
今回論文賞を受賞した論文では、超音波によって核を力学的に共振させ得ることを発見した内容を示しており、これにより、核に対し非侵襲かつ選択的な力学刺激が世界で初めて可能となりました。また、独自の装置開発により、その挙動を光学顕微鏡の同時観察により確認することも達成しています。これらの成果は、今後のメカノバイオロジー研究に大きな進歩をもたらすことが期待されます。
なお、今回の研究において、藤原夏実さんは、Young Scientist Awardも受賞しており、論文賞とのダブル受賞の快挙を成し遂げました。
藤原さん、おめでとうございます!
以下は、論文賞を受賞した論文です。
Natsumi Fujiwara, Shao-Ying Tan, Takaki Matsumoto, Akira Nagakubo, Masahiro Kino-oka, and Hirotsugu Ogi "Development of a focused-ultrasound spectroscopic-imaging system combined with optical imaging for applying mechanical stimulation on living cells and possibility of selective stimulation for nucleus", Jp. J. Appl. Phys. 63, 03SP65 (2024).