◆2022.11.21 オーストラリアでの学会に参加しました!◆

2022年11月21-24日にAustraliaのWollongongで行われたProteostasis & Disease Symposium 2022とJSPS Core-to-Core seminarに参加するために大阪大学・後藤祐児先生を代表とする17名の団体でオーストラリアへ渡航しました。荻研からはM1の花田君が参加してくれました。その様子を後藤研(現荻研助教)の中島と花田君からお届けさせてもらいます!



Wollongongの港の雰囲気。初夏という雰囲気で本当に最高の時期であった。

 11月19日の20時に伊丹空港から羽田空港へ。そして、22時50分のフライトで羽田空港からシドニー空港へ移動した。無事、Sydney空港に着陸し、荷物を回収したのだが、空港に迎えに来るはずのバスの運転手が見当たらない。空港内を走りまわって、バスの運転手らしき人に片っ端から声をかけると、空港から出たところに見慣れない謎のバスを見たという目撃証言が入ってきた。運転手に声をかけてみると、ビンゴであった。代表者に電話をしたとか、空港の敷地に入れてもらえなかったなどと言い訳しているように聞こえたが、大半は強いオーストラリアなまり(?)のせいで分からなかった。この出張を通して言えることだが、オーストラリアの方の英語は不思議と女性のほうが聞き取りやすく、男性の英語はなかなか苦戦した。何はともあれ、バスに乗り込む。マイクロバスに貨物車が連結されていた。期待の通り、荷物の扱いはとても荒い。ただ、ニコニコとおじさんなりに愛嬌をふるまいながら荷物を扱っているので、何とも言えない気持ちになった(笑)
 その後、バスでSydneyからWollongongへと向かう。後藤先生のリクエストで海岸線を通って移動してくれるようだ。Wollongongの海岸線は日本でいうと四国西南部の海岸線を彷彿させるような地形であった。切り立った崖の下に、強い東風の影響で白波が砕けている。2時間弱走り、Wollongongで滞在するNovotel North Beachに到着したNovotelは、事前に4つ星ホテルと聞いていたので期待したが、門構えは古びた感じだった。そして、ホテルにチェックインする。Kichitaro Nakajimaだというが、そんな奴の予約はないといわれ、戦慄が走る。花田君と相部屋であったため、Kakeru Hanadaは予約されているか?と聞くと、予約されているという。では、Kakeru Hanadaの相部屋は誰だ?と聞くと、Takumi Itabashiだという。そんな人は今回の出張団にいない(汗)。結局、事情を説明して板橋(中島)もチェックインすることができたが、なぜこのようになったかは今も謎のままである。


Cockatoo。かわいい。


 その後、ホテルの部屋で学会発表練習に勤しんでいた。スライドはほぼできていたが、25分の発表ということで、入念に発表事項を確認していくとかなり時間がかかる。そして、練習に集中していると後ろから視線を感じた。Cockatooというオーストラリアのオウムのような鳥だ。日本でいうカラスのような存在らしい。うるさくてごみを食べたりする害鳥的な側面もあるらしいが、何せ愛らしい。練習そっちのけで触れ合い、部屋に招き入れてみようかとも思ったが、さすがに花田君に怒られるかと思い、やめた(笑)。想像していたより大きくて近くで見るとなかなかの迫力だった。


学会全体の集合写真。会場のテラスで。


 2日目から4日目は、学会(4th Proteostasis and Disease Research Symposium)本番であった。我々は初日にポスターのフラッシュトークと発表があった。参加者は100名程度の学会であったので、全日程通してポスターはずっと貼りっぱなしで随時議論できるような感じであった。初日のオープニングトークはCambridgeのProf. Michele Vendroscoloから始まった。故Chris Dobsonの創立したCentre for Misfolding Diseases(通称CMD)の歴史から最近の研究までを網羅した話であった。その後も著名な先生方が登壇された。面白い発表が多かったが、細胞をモデルとした分子生物学的な研究が多く、詳細を発表内だけで理解することはなかなか難しかった。フラッシュトークでは、花田君のスライドが表示されないトラブルがあり、一瞬ヒヤッとしたが、本人が会場係にちゃんと説明して、ちゃんと発表させてもらっていたので良かった。ポスター発表は、夜ご飯を食べながらの発表形式であり、シャンパン片手に大御所の教授がふらふら歩いているので、片っ端から捕まえて自分の論文を印刷したものを渡して、ポスターの説明をした。今回お会いした海外の教授は本当に若手に優しく、たくさんアドバイスをくれた。また、個人的な進路まで気にしてくれる先生までいたので、「海外留学したことがないので、あなたの研究室に行きたい」と、ちゃっかりお願いしておいた。
 花田君もSydney UniversityのProf. M. Sundeをはじめ、多くの人と議論できているようであった。私も花田君も感じたことだが、アミロイドの研究者は超音波をツールとして使っている人がちらほらいるようで、意外とその原理まで興味を持って聞いてもらえる。花田君の研究はアミロイドシード検出感度の超音波周波数依存性というテーマで若干マニアックかと思って心配していたが、むしろ、にぎわっているポスターの一つであった。もちろん、彼の積極的な姿勢も相まってのことではあると思うが。


シドニーの大聖堂の前で、京大の星野さんとともに。


 さて、4日目の午後は、この出張の最難関ポイントの到来である。私、花田君と京大の星野先生はコロナワクチンを3回接種していないので、日本に帰国するために、現地で陰性証明を取得する必要があった。Wollongongにも検査場があったが、検査結果がいつ出るかわからないような話であったので、大事をとって、Sydney空港内の90分で結果が出るPCR検査を受けに行った。ここで陽性が出ると厄介だ。検査を終え、Sydney市街のコリアンレストランで若干緊張しながら3人で結果を待つ。Twiceの日本語曲が流れているのが唯一の心の拠り所であった。耐えかねて星野さんのおごりでビールを飲み始めて少し経った頃、検査結果のメールがあり、無事全員陰性を確認し、後藤先生に問題ありませんでしたとメールを送った。この瞬間から、飲み会の雰囲気は完全に祝勝会に変わった(笑)。最終的には星野さんにご飯代まで全てご馳走になってしまった。その後、Sydneyの大聖堂周辺を少し散策し、Wollongongへ戻った。検査結果が陰性だったおかげで結果としてよい小旅行になった。


UOWの前で、セミナーの集合写真


 5日目は、JSPS Core-to-Core seminarに参加した。University of Wollongong (UOW)で開催され、Organizerは、我らが後藤先生とUOWのProf. Mark Wilsonである。中島は、大トリの発表であったので、これまでになく緊張していた。午前からUOWと日本の研究者が一人25分の持ち時間で交互に発表を行っていった。昼食時にはUOWに最近できた最新のCryo電顕のための建物(!!)を見学させていただいた。ちなみに電顕は40億円らしい。UOWはオーストラリアではTop8大学には入っておらず、第二グループのランクらしいが、それでもこのような設備を導入できるのかと驚愕した。政府からの支援とともに、地元の大富豪などが巨額の寄付を行い、建物にはその人の名前が付くのが慣例らしい。自分の発表は、前準備と会場の温かい雰囲気のおかげで発表・質疑応答ともに問題なく終えることができた。
 余談ではあるが、発表は「つかみ」が大事だと思った。発表がいい雰囲気で進む先生は初めの2~3分で3笑いぐらいをとり、中盤に飽きさせないようにもう一押し入れてくる。若干、日本とは異なるのかなと思ったが、日本語でやるとどういう感じになるかもいつか試してみたい。ちなみに、中島のボケは3打数2安打で滑ると手汗が滲んだ(笑)。


UOWの前で、Nadina(左)と彼グループのポスドクのYasith(右)と記念撮影。


 セミナーの後には、海が見える海鮮レストランのようなところに夕食を取りに行った。UOWのメンバーも参加してくれ、後藤先生が目をつぶったまま組木パズルを完成させたり、星野さんが、日本に来たらそばとうどんを食べ比べろと熱弁していたりして、とても楽しい雰囲気で会は進んだ。その後は、お開きとなったが、飲み足りず、Monash UniversityのNadinaを誘ってスポーツバーで飲みなおしたが、彼に声をかけたのは幸運だった。彼は、スリランカから単身渡米し、学位をとったのち、ドイツに渡り有名なBukau labで5年間のポスドクと2年間のプロジェクトリーダーを経たのちに、Monashで独立PIになったという略歴だ。色々と研究について相談すると、非常に力強い意見をくれた。また、Natureの筆頭著者論文ももっていて、その際のストーリーやラボを離れる際に若干のいざこざがあった話などを面白おかしく話してくれた。また、この時にNadinaがIt’s on me.(おごるよ)というイケてる慣用表現を連発してくれて、たくさん飲めて、英語の勉強にもなった(笑)。


Jacarandaの花の下で。後藤先生、花田君と記念撮影。


 最終日は、Wollongongを離れ、飛行機の待ち時間を利用して、有名なオペラハウスやハーバーブリッジ周辺を散策した。そして、後ろ髪をひかれる思いで、11月25日21時30分のフライトで、シドニーから羽田へ。そして、翌日8時のフライトで伊丹へ帰ってきて、現地解散となった。今回の出張を通して、私も花田君も大いなる刺激を受けることができ、このような機会を与えていただいた後藤先生には心から感謝を申し上げたい。(中島吉太郎)

---------(以下花田くん)----------
 M1の花田翔です。私にとって今回が初めての国際学会でした。ポスター発表を行い、その際初めてのフラッシュトークを経験しました。他の発表者のトークには惹きつけられるものを感じ、特に慣れていない言語でのプレゼンの際には気持ちを込めて話すことが重要であると改めて認識しました。ポスターセッションは日本の学会とは違い立食しながら行うため聴取者と距離が縮まり、楽しく説明を行うことができました。発表後に中島さんから私が議論していた方のほとんどが有名な論文の著者だったことを聞かされ非常に驚きました。また日本と比べて積極的な方が多かったです。ある研究者は私がその人のフラッシュトークを聞いている際にメモをとっていたことに気づいて、トーク後すぐに、”You must be interested in my research! (多分)”と声をかけてくれてくれたのです。実は今回私にとって初めての海外訪問でもあったため、学会初日からその積極性に感銘を受けました。そしてせっかくこのような機会を設けていただいたので、自分からも積極的に現地の方に交流しようと努めた結果、学術的な知見だけでなく、他国の文化に関する知見についても同時に得られました。特にPhDコースを楽しんでいる学生が多く刺激的でした。今回の出張を通じて研究や英語学習に対するモチベーションが高まったのでこれからも日々邁進したいと思います。先生方本当にありがとうございました。(花田翔)


(左上)人生初のフラッシュトーク。(右上)ポスター発表!(左下)学会のディナー!日本人ラストになるまで残っていました(笑)。(右下)学会終了後に休憩しながら、テラスで一杯。


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