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超音波と力学的性質
実は「音を聴く」だけで材料の性質が分かるんです。

 花火大会や雷の時、光ってから音が聞こえるまでに数秒かかるのを経験したことはございますか?あれは光と音の伝わる速度が違うため音の方が遅れて聞こえるのです。

 空気中の音速は340 m/s。これは知っている人も多いと思います。この速度がマッハ1で、時速に直すと1224 km/h。日常生活の中では十分早いですよね
 では水中の音速は?海やプールに行って潜っている間も音は聞こえますよね。実は水中を伝わる音の速度は約1500 m/sで、マッハ約4.4にもなります。

 「音速」は何を伝わるかによって大きく変わります。空気は気体、水は液体、では固体中は?例えば机の上に置いたスマホの着信振動が机を伝わって揺れを感じることがありますよね。音は固体中もよく伝わり、その音速は材料によって大きく変わります。例えばレールなどの鋼を伝わる音の速度は秒速5,000 m/s(マッハ14.7)!東京-大阪間の距離が約500 kmなので、レールを伝わる音は僅か100秒で大阪から東京まで届くことになります。ダイヤモンド中の音速になるとなんと秒速17,400 m/s!
 では音速は何によって決まっているのでしょうか?

 音速は物の"硬さ"と重さで決まります。"硬さ"という表現は難しく、ここでいう"硬さ"とは正確には弾性力(復元力)のことです。ピストンに空気または水を閉じ込めた場合、水の方が圧縮しにくいですよね。あれは復元力が大きいので、少し変形しただけで抵抗力が大きくなるからです。同様に例えばプラスチックの板と金属の板なら金属の板の方が曲げにくいのも、金属は更に復元力が大きいからです。そして空気より液体、液体より固体の方が復元力が大きいから音速も早いのです。

 つまり、材料の音速を測るとその物の"硬さ"(=弾性定数)が分かるんです。大きな材料であれば実際に変形させて計測することもできますが、小さな材料では超音波が伝わる速度を計測することで材料の弾性定数を求めることができます。

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