微小球を走査プローブとする
走査型近接場光学顕微鏡
光の近接場が物質表面のごく表層にのみ存在することから,ガラス板内部でレーザー光を全反射させると,ガラス-空気境界の空気側に光の波長以下の厚みの局所電磁場(近接場)が生成される.この電磁場へ微粒子を置くと,近接場が散乱され微粒子が微小光源となって走査型プローブ顕微鏡の走査光源となり得る.微粒子サイズを500nm程度とするとファイバプローブ先端と同じような近接場光源となり,観察したい試料表面へ接近させると微弱な散乱光が発生する.散乱光強度が微粒子-試料の距離に強く依存するので,散乱光強度を一定とする制御走査を行うことで,試料表面の回折限界以下の微細構造を観察することができる.この原理を光学顕微鏡に組み込んで実現し,プラチナ薄膜上にFIB加工で製作した,微小開孔列を観察できた.