● PDI計測とは...

 

先端が微細な光ファイバから出た光は回折現象によって真球面と見なせるほど精度の高い球面波として伝播します。この光を参照波面とした干渉計を構成することでミラーの表面形状を高精度に計測することが可能となります。

一方のファイバから出射された回折球面波はミラーで反射されミラー形状の情報を持った波面として伝播し、もう一方のファイバから出た回折球面波と干渉して干渉縞をつくります。この干渉縞を解析することによって、伝播した波面形状を計測することが可能となります。

ミラー形状に誤差がある場合、反射した波面は変化しながら伝播します。すなわち伝播してきた波面は真のミラー形状とは異なっています。そこでHelmholtz-Kirchhoffの積分定理を用いたデジタルホログラフィによって反射直後の波面を復元することでミラーの真の形状を求めます。

本PDI装置の概略図です。光学系は恒温室内の防振台上にセッティングされています。光源から出た光は偏光ビームスプリッターで2つの光に分けられ、ファイバに導入されます.片方の光は位相シフトするためにピエゾステージ上のミラーで反射された後、ファイバに導入されます。

計測例として加工精度が6/λである直径200mm、曲率半径1500mmの市販の凹面ミラーの計測した時の結果を示します。左図は干渉縞を示しています。右図は解析により得られたミラーで反射された波面を球面からのずれで表しています。

左図は反射直前の波面すなわちミラー形状を表しています。また右図は計測精度の評価としてミラーを光軸回りに90°回転させた結果との差をとったものです。凹面ミラーに対する計測精度はPV値で2.0nm、rms値で0.85nmとなっています。比較的凹面形状に近い非球面形状の計測も行っており、同程度の計測精度が得られています。今後平面や放物面のような非球面形状の計測も行っていく予定です。